パイプカットとは何かというと、正式には精管結紮手術と呼ばれている男性の不妊手術の事です。どういう手術かというと、陰嚢の内部にある精子が通る管を、外から小さい穴を開けて出して、その断面を塞いでしまう事で、精液の中に精子が入らないようにするというものです。
この手術を行う事で、避妊がほぼ完璧に出来るようになります。手術自体もわずか30分程度で終わりますし、日帰りも可能な為、行う人も増えています。
それではパイプカットを行う理由は何か、また男性がこの不妊手術を行うメリットとデメリットは何かを詳しく見ていきましょう。
パイプカットを行う目的と、世間の間違ったイメージ
パイプカットの手術を行う目的は、避妊という人がほとんどです。避妊と言ってもコンドームを付ける等の一時的なものではなく、ある程度年齢を重ね、結婚をしていて子供もいるので、もう必要ないと感じて行う場合が多いです。
一昔前の映画等では、モテモテのプレイボーイが女性を妊娠させる心配なく遊びたいという気持ちから、パイプカット手術をするというようなエピソードもありました。
しかし実際は家族計画上、もうこれ以上子供はいらないという夫婦がお互い納得した形で行うというケースが多いです。
世間のイメージだと男性の不妊手術という事もあって、パイプカットを行うと、精力が落ちて射精もしなくなると考えている人も多いですが、これは大きな間違いです。
精子が出る管と男性ホルモンが分泌される箇所は直接関係ない為、手術をした所で精力は全く落ちませんし、射精もする事が出来ます。もちろん射精時の気持ちよさも変わる事はありません。
さらに精液の見た目も、中には精子は入っていませんが、手術前と同じなので、言わなければ相手は気づきません。
このようにパイプカットという言葉は聞いた事がある人も多いですが、実際は間違ったイメージが付いてしまっているというのも大きな特徴です。
パイプカットのメリットとデメリット
パイプカット手術を行うメリットは何かというと、確実な避妊効果をあげる事が出来るという点です。手術を行う事で、男性は毎回コンドームを付けたりする煩わしさはなくなりますし、女性も毎日ピルを服用する必要もなくなるので、妊娠の心配する事無く楽しく性生活を行う事が出来ます。
さらに相手を妊娠させる心配もなくなった事で、男性がより精力的になったり、快感が高まり不感症が治ったというケースもあります。
一方デメリットは何かというと、たとえ30分ほどの手術とはいえ、感染症の恐れや手術が失敗する可能性が低いですがあるという事です。
また手術後に、何かしらの理由からやはり子供が欲しいと気持ちが変わったとしても、その能力を取り戻す事はほぼ出来ないというのも大きなデメリットです。
もちろん1度切断してしまった精管を、もう1回つなぎ合わせるという再縫合手術は、決して医学的には不可能ではありません。しかし仮に上手く縫合出来たとしても。機能が完璧に回復するかというのは非常に難しい所です。
その為手術を行う際には、本当に後で後悔はしないかを自分だけでなくパートナーと一緒に考え、念には念を入れてから決断しなければなりません。
手術後に注意すべき点
パイプカットの手術を行ってから、約1週間後に抜糸を行います。その為抜糸までの期間はお風呂には入っても構いませんが、シャワーを浴びる程度にして湯船につかるのはやめた方が良いです。ただシャワーもなるべく手術後2~3日は控えた方が無難です。湯船に入る事で、感染症を引き起こす可能性もある為、入浴したい気持ちは分かりますが我慢しましょう。
また抜糸するまではマスターベーションやセックスも控える必要があります。さらに抜糸を行うのが嫌な場合は、自然にとける糸があるので、それで縫合すれば抜糸は不要です。
それから特に注意しなければならない点があります。それはパイプカットの手術をしても、しばらくの間はまだ精液の中に精子が残っているという事です。その為もう手術をしたから大丈夫だと、その間に性行為をしてしまうと相手を妊娠させてしまう可能性があるので注意しましょう。
しかも残留精子は約1~2ヵ月と結構長い期間生存する為、その間に性交渉をする場合は、きちんとコンドーム等を使う必要があります。
残留精子がいなくなったかどうかは、しばらく経ってから病院等で精液検査をするので、そこできちんといなくなったと確認するまでは安心してはいけません。
まとめ
パイプカット手術は、わずか30分程度で行う事が出来るので、気軽にやろうかと考えている人もいますが、1度手術をしてしまうと、あとでやはり子供が欲しいと気持ちが変わった時に後悔する事になります。
パイプカットには確実な避妊効果というメリットがありますが、その一方で手術してしまうと機能を回復させるのは難しいというデメリットもあります。その為手術を行う場合は、自分だけでなくパートナーとも相談してから決めましょう。
また手術後もしばらくは残留精子があるので、きちんと病院でなくなったと確認するまでは油断しないように注意が必要です。
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